高校生の勉強計画の立て方——参考書は「問題数 ÷ 週数」で1週間の量を決める
「この本を夏までに終わらせる」と決めても、毎週どこまでやるかが決まっていないと計画は崩れます。問題数と使える週数から1週間の量を出す手順と、最初の計画が楽観的になりやすい理由、遅れたときの立て直し方を整理しました。
「この参考書、夏休みまでに終わらせます」
目標を決めるのは大切です。ただ、期限だけ決めて毎週どこまでやるかが決まっていないと、最初の数週はのんびり進み、期限が近づいてから慌てる、ということが起きがちです。
この記事では、期限から逆算して「今週はここまで」を決める手順を、具体的な数字で説明します。範囲を問題番号で決める理由や、×の問題の解き直しと2周目については参考書の回し方の記事で扱っているので、あわせて読んでみてください。
全体の手順
- 1
その本の問題数を数える
ページ数ではなく問題数。演習問題も含める
出版社の商品ページや目次で確認できることが多い
- 2
使える週数を数える
期限までの週数 − 進められない週 − 予備の1週
テスト前・学校行事の週は先に引いておく
- 3
割って、1週間の量を出す
問題数 ÷ 使える週数(端数は切り上げ)
毎週の範囲は「No.○〜○」のように問題番号で決める
- 4
2〜4週やったら割り直す
実際に進んだペースで、残りの問題数 ÷ 残りの週数
最初の計画は楽観的になりやすいので、立て直す前提で
1. その本の問題数を数える
まず、その本に何問あるかを数えます。ページ数ではなく問題数で数えるのがポイントです。解説が長いページと短いページで負担が大きく変わるので、ページで割ると週によって重さがばらつきます(理由は回し方の記事で詳しく書いています)。
例として、数学の『数学Ⅰ・A 基礎問題精講 六訂版』(旺文社)で数えてみます。出版社の説明では、入試に出る基本的な154テーマを取り上げ、1つのテーマを「基礎問→精講→解答→ポイント→演習問題」で解説する構成です。出版社が公開している演習問題の解答も1〜154番まであります。
つまり、1テーマに基礎問と演習問題が1問ずつで、合わせて308問です。
2. 使える週数を数える
次に、期限までに実際に進められる週を数えます。
- 期限までの週数を数える
- そこから、定期テストの前や学校行事で、この本を進められない週を引く
- さらに、最後に予備の週を1週とっておく
予備の週は、遅れたときの調整や、×の問題の2周目に使います。最初から全部の週を埋めてしまうと、1回つまずいただけで計画全体が崩れます。
当塾の学習管理システムでも、計画を作るときに最終週を予備・総復習にあてる設定を用意しています。予備週には、それまでに残った未完了の問題をまとめて出します(×の問題の2周目は、毎週と同じく別の課題で並行して出します)。
3. 割って、1週間の量を出す
あとは割り算です。先ほどの基礎問題精講(308問)を例にすると、
| 週数 | |
|---|---|
| 期限までの週数 | 16週 |
| テスト前で進めない週 | −2週 |
| 予備の週 | −1週 |
| 使える週数 | 13週 |
308問 ÷ 13週 = 23.7… なので、端数を切り上げて1週間に24問です(数字はあくまで一例です)。
毎週の範囲は、「今週は No.1〜24」のように問題番号で決めます。何問終わって何問残ったかがはっきりするからです。
当塾の学習管理システムでも、毎週の量は章の切れ目ではなく問題数で決めています。章で区切ると、問題数の多い章の週だけ重くなるためです。
4. 最初の計画は楽観的になりやすい
ここが一番大事なところです。最初に立てた計画は、たいてい甘めになります。
これは気持ちの問題ではなく、人の予測のくせとして研究されています。よく知られた調査(Buehler, Griffin & Ross, 1994)では、卒業論文を仕上げる段階の大学生に、いつ書き終わるかを予測してもらいました。
- 予測の平均は33.9日、実際にかかった日数の平均は55.5日
- 予測した日までに終わったのは3割ほど(29.7%)
- 「最悪の場合」を想定してもらった予測(平均48.6日)でも、実際より短い傾向があった(この差は統計的にはっきりしたものではありません)
研究者は、人は予測するときにこれからの計画の筋書きばかりを考え、過去に実際どれくらいかかったかをあまり使わないことが、楽観的になる理由の一つだと考えています。
勉強の計画でも、「この本、1日5問なら余裕」と思っていても、実際には解説を読み込む時間や、×の問題の解き直しや2周目で思ったより時間がかかります。
だから、2〜4週やってみたら、実際に進んだ量で計画を立て直します。
- 実際に1週間で終わった問題数(実測のペース)を出す
- 残りの問題数 ÷ 残りの週数 で、これからの1週間の量を出し直す
- そのペースで期限に間に合うかを確かめる
最初の計画は「仮」と考え、数週間分の実績が出たら現実に合わせる。これが、最後まで回る計画の作り方です。当塾でも、週1回の面談でペースを確認し、合わなければその時点の残りを新しいペースで組み直しています。
5. 遅れたときの立て直し方
計画どおりに進まない週は必ずあります。そのときは、
- 終わらなかった問題は、翌週の範囲に足す(積み残しを見えないままにしない)
- 残りの問題数を、残りの週数で割り直す
- それでも期限に間に合わないときは、何を減らすかを決める
3で減らす順番が大切です。当塾では、時間が足りないときはこれから進む予定の上の段の本(入試演習や難関の本)の演習量を減らし、今やっている本と、その×の問題の2周目は削らないようにしています。2周目を削ると1冊を「やっただけ」で終わり、次の段で止まりやすくなると考えているからです。
当塾の学習管理システムでは、この1と2を毎週の配信のたびに自動で行っています。チェックがつかなかった問題は翌週の課題に繰り越し、毎週の量は「(終わらなかった問題+まだ出していない問題)÷ 残りの週数」で決め直します。×をつけた問題の2周目は、この量とは別に、翌週以降の課題に並行して出します(×の数で、期限までの計画がずれないようにするためです)。期限そのものを動かすときは、週1回の面談で見直します。
よくある質問
- Q.章ごとに区切ったほうが分かりやすくないですか?
- A.章で区切ると、問題数の多い章の週だけ重くなり、そこで遅れやすくなります。区切りは問題数で均等にして、章の切れ目は気にしなくてかまいません。どうしても章の途中で止めたくない場合は、前後の週で数問ずつ調整します。
- Q.何科目も並行しているときはどうしますか?
- A.科目ごとに同じ手順で1週間の量を出し、合計が1週間に使える勉強時間に収まるかを確かめます。収まらないときは、期限を延ばすか、これから進む予定の上の段の本(入試演習や難関の本)の演習量を減らします。最初の2〜4週の実測ペースを見てから判断するのが確実です。
- Q.毎日決まった問題数をこなしたほうがいいですか?
- A.毎日同じ量にこだわる必要はありません。部活や行事で進められない日もあるので、計画は週単位で持ち、週の合計で帳尻を合わせるほうが崩れにくくなります。
- Q.期限はどう決めればいいですか?
- A.志望校と、入試までの残り時間から逆算します。どの本をいつまでに終えればいいかは、志望校の出題や今の成績で変わるので、一人で決めにくければ相談してください。
どの本をどの順番で使うかは、基礎問題精講と青チャート・物理のエッセンス・大岩と頻出1000・学校の傍用問題集の記事で、1冊の回し方は参考書の回し方の記事で解説しています。
出典・参考
- 旺文社『数学Ⅰ・A 基礎問題精講 六訂版』商品ページ(154テーマ、「基礎問→精講→解答→ポイント→演習問題」の構成)
- 旺文社『数学Ⅰ・A 基礎問題精講[六訂版]』演習問題の解答PDF(演習問題は1〜154)
- Buehler, Griffin & Ross (1994) Exploring the "planning fallacy": Why people underestimate their task completion times. Journal of Personality and Social Psychology, 67(3), 366–381
記事中の書名・版・構成は執筆時点の出版社公式情報にもとづきます。改訂により変わることがあります。問題文の転載は行っていません。
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