単語帳は何周で覚える?1日何個?——英単語は「語数÷週数」で毎日進め、覚えた単語も思い出す練習から外さない
単語帳を何周しても覚えられない。1日何個やればいいか分からない。1週間の新しい範囲を「語数÷週数」で決める方法と、×の単語だけでなく覚えた単語も思い出す練習を続ける理由を、研究と一緒にまとめました。
「単語帳を3周したのに、テストになると出てきません」
「1日100個やっているのに、次の週にはほとんど忘れています」
英単語の悩みで、とてもよく聞くものです。時間をかけているのに残らないと、自分は暗記が苦手なのかと思ってしまいます。
この記事では、単語帳の回し方を「1日の量」と「回し方」に分けて、研究で分かっていることと一緒にまとめます。
「何周したか」で数えると、覚えたつもりになりやすい
単語帳を「3周した」と言うとき、多くの場合、その中身はページを順にめくって、英語と意味を目で追った回数です。目で追っているときは意味が横に書いてあるので、どの単語も「分かる」と感じます。
ところが、テストや長文で必要なのは、英語を見た瞬間に意味が出てくる状態です。見れば分かる状態と、自分で思い出せる状態は違います。
そこで単語帳は、意味を隠して、自分で言えるかで回します。言えなかった単語に×をつけます。1周目から、眺める周ではなく思い出す周にします。
1日何個?——「語数 ÷ 週数」で1週間の新しい範囲を決める
高校で新しく学ぶ英単語は、学習指導要領の解説で1,800〜2,500語程度とされています(中学校の終わりまでに2,200〜2,500語程度)。入試の直前にまとめて覚えられる量ではないので、最初から毎日少しずつ進めます。
1日の量は、気合いで決めずに割り算で決めます。
- 単語帳の語数を確かめる(単語帳の表紙やまえがきに書いてあります)
- 入試までの週数で割って、1週間の新しい範囲を決める
- 1週間の範囲を、毎日に分ける
たとえば2,000語の単語帳を40週で進めるなら、1週間に50語、1日7〜8語です。
「1日7語では少ない」と感じるかもしれません。でも、下で書くように、毎日の練習には前の範囲の復習も入ります。新しい単語を増やしすぎると、復習の時間が足りなくなり、結局前の範囲を忘れていきます。1日100個ずつ進めても次の週に忘れてしまうのは、多くの場合、量の問題ではなく、前の範囲をもう一度思い出す機会がないことが原因です。
週の範囲の決め方は、問題集と同じ考え方です(高校生の勉強計画の立て方)。
1日の回し方:新しい範囲と、前の範囲の両方を思い出す
ここからは当塾からの提案です。毎日の練習を、次の3つに分けます。
- 1
今週の範囲を思い出す
意味を隠して言う。言えなかった単語に×
今週の範囲は、週のあいだ毎日やる
- 2
×の単語を、その日のうちにもう一度
その日の最後に、×の単語だけもう一度思い出す(解き直し)
- 3
前の範囲も、○の単語ごと思い出す
先週の範囲は毎日。それより前の範囲は、1日に1週分ずつ古い順に回す
最後まで行ったら最初に戻る。出てこなければ×をつけて、その日のうちにもう一度
この回し方だと、ある週の単語は、その週のあいだは毎日、翌週も毎日、そのあとは数週間おきに、また出てきます。最初は短い間隔で、だんだん間隔が広がっていく形です。
単語帳を最後まで進めたあとも、前の範囲の復習はそのまま入試まで続けます。
研究で分かっていること:思い出せた単語も、外すと忘れる
外国語の単語を覚える実験で、一度思い出せた単語を、その後の練習から外すとどうなるかを調べた研究があります(Karpicke & Roediger、2008年)。米国の大学生が、スワヒリ語と英語の単語40組を、覚える時間とテストを交互にくり返して覚えました。
- 思い出せた単語もテストを続けた場合、1週間後に思い出せたのは約8割
- 思い出せた単語をテストから外した場合、1週間後は3割台
- 一方、思い出せた単語を「見て覚える時間」から外しても、1週間後の成績はほとんど変わらなかった
参加した学生たちは、1週間後にどれくらい思い出せるかを予想しましたが、その予想は条件によって変わりませんでした。外しても大丈夫だと感じていたということです。
もう1つ、間隔を空けた復習についての研究は数多くあります。それらをまとめた分析(Cepeda ほか、2006年)では、時間を空けて分けて学んだほうが、まとめて学ぶより後まで覚えていることが、ほとんどの比較で示されました。単語カードを使った実験(Kornell、2009年)でも、参加者の9割は間隔を空けたほうが成績がよかったのに、7割以上の参加者は最初の練習のあと「詰め込んだほうが効果的だった」と感じていました。
どちらの研究からも言えるのは、覚えたかどうかの感覚はあてにならないということです。だから、自分の感覚で単語を外さず、決めた回し方で思い出す機会を作り続けます。
いずれの研究も、大学生などを対象にした実験で、日本の高校生の単語帳の使い方を直接比べたものではありません。
×が減らない週は、新しい範囲を減らす
×が多くて毎日の練習が終わらない週は、新しい範囲を減らします。前の範囲の復習は削りません。新しい単語を予定どおり進めても、前の範囲を忘れていくなら、結局覚えている単語は増えないからです。
減らした分は、計画を見直すときに、残りの語数を残りの週数で割り直して吸収します。部活や定期テストで時間が取れない週も同じです(部活と勉強の両立)。
単語帳は、ほかの勉強とは別に最初から毎日
英語の勉強は、文法 → 英文解釈 → 長文と、段を1つずつ進めます。単語帳はこの段とは別に、最初から入試まで毎日続けます(英文法はどこまでやれば英文解釈に進める?)。
単語の意味がすぐに出てこないと、長文を読む速さにも響きます(英語長文で時間が足りないときの対策)。
当塾では、単語帳に『DUO 3.0』(アイシーピー)を使っています。
よくある質問
- Q.単語帳は何周すれば覚えられますか?
- A.何周という回数より、英語を見て意味を思い出す練習を続けたかで決まります。眺める周回を重ねても、思い出せるようにはなりにくいです。意味を隠して言えるかを毎日確かめ、前の範囲も入試まで回し続けてください。
- Q.単語帳は1日何個覚えればいいですか?
- A.単語帳の語数を入試までの週数で割って、1週間の新しい範囲を決めます。2,000語を40週なら1週50語、1日7〜8語です。少なく見えても、毎日の練習には前の範囲の復習が入るので、新しい単語を増やしすぎないほうが結果的に残ります。
- Q.単語帳を何周しても覚えられません。
- A.意味が見える状態で眺めていないか確かめてください。意味を隠して思い出す練習に変え、言えなかった単語はその日のうちにもう一度、前の範囲も日を空けて思い出すようにします。
- Q.一度覚えた単語は、もう見なくていいですか?
- A.見なくなると忘れていきます。一度思い出せた単語をテストから外すと、1週間後に大きく忘れていたという実験があります。○になった単語も、前の範囲の復習で日を空けて思い出してください。
問題集の回し方は参考書は何周するべき?、1週間の計画の作り方は高校生の勉強計画の立て方を読んでみてください。
出典・参考
- Karpicke & Roediger (2008) The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966–968
- Kornell (2009) Optimising learning using flashcards: Spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychology, 23(9), 1297–1317
- Cepeda, Pashler, Vul, Wixted & Rohrer (2006) Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380
- Nakata (2015) Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning. Studies in Second Language Acquisition, 37(4), 677–711
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編 英語編』
- アイシーピー『DUO 3.0』公式ページ
記事中の書名・版・構成は執筆時点の出版社公式情報にもとづきます。改訂により変わることがあります。問題文の転載は行っていません。
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