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基礎問題精講と青チャートはどっち?——併用せず「同じ役割の本は1冊」で選ぶ

基礎問題精講を終えたら青チャートへ進む、という計画をよく見ます。でも2冊は同じ役割の本です。どちらか1冊を選ぶ基準と、終えたあとに本当に進むべき本を整理しました。

読了 約4分執筆: ルートアップオンライン塾(現役医学生が運営)

「基礎問題精講を1周したので、次は青チャートに進もうと思います」

学習相談でよく聞く計画です。気持ちはよく分かります。基礎問は薄く、青チャートは厚い。薄い本を終えたら厚い本へ、は自然な発想です。

でもこの2冊は、同じ役割の本です。順番に積み上げるものではなく、どちらか1冊を選ぶものです。この記事では、なぜそう言えるのか、どちらを選べばいいのか、そして基礎問を終えたあとに本当に進むべき本は何かを整理します。

参考書には「役割」がある

高校数学の参考書は、ざっくり4つの役割に分かれます。

  1. 1

    導入・理解

    入門問題精講 など

  2. 2

    解法習得・網羅

    青チャート/基礎問 など

  3. 3

    入試標準演習

    1対1/標問 など

  4. 4

    過去問

    志望校の形式へ

基礎問題精講も青チャートも ② の本。この記事は ② の中でどれを選ぶかの話です
役割何をする本か代表例
① 導入・理解初めて習う分野の考え方を説明する入門問題精講、やさしい高校数学
② 解法習得・網羅入試で使う解法のパターンを一通り身につける青チャート、基礎問題精講、Focus Gold、白チャート
③ 入試標準演習身につけた解法を組み合わせて入試問題を解く1対1対応の演習、標準問題精講、プラチカ
④ 過去問志望校の形式に合わせる赤本など

基礎問題精講も青チャートも、②の「解法のパターンを一通り身につける」本です。扱う問題の難しさや量は違いますが、やっていることは同じです。

②の本を2冊続けてやると、1冊目で身につけた解法を、2冊目でもう一度最初から確認することになります。これは復習としては悪くありませんが、「次の段階に進む」ことにはなりません。入試で問われるのは③の「組み合わせて解く力」なので、②を2周するよりも、②を1冊きちんと仕上げて③へ進むほうが、同じ時間で先へ行けます。

実際、主要な参考書ルートの解説(予備校・塾・個人の学習サイトを複数調べました)で「基礎問→青チャート」の順番を採用しているものは見つかりませんでした。

2冊の違い——「どこまで届くか」と「どれだけ時間がかかるか」

同じ役割でも、2冊には明確な違いがあります。まず公式情報で数字を押さえます。

② 解法習得・網羅(コンパクト)

数学 基礎問題精講

旺文社・I・A 六訂版/II・B+ベクトル 六訂版/III・C 五訂版

  • I・A: 例題154+演習154
  • II・B+ベクトル: 例題183+演習183
  • III・C: 例題136+演習125(第7章ベクトルの11題は演習なし)
  • 構成: 基礎問→精講→解答→ポイント→演習問題
出版社の公式ページ

② 解法習得・網羅(上限が高い)

チャート式 基礎からの数学(青チャート)

数研出版・新課程版 I+A/II+B/III/C

  • 公式の説明: 教科書レベルから入試レベルまで
  • 構成: 基本事項→例題(指針)→練習→EXERCISES
  • 例題数は基礎問の2倍以上
出版社の公式ページ
基礎問題精講青チャート
問題の上限入試の典型問題まで。各種の解説ではおおむね白〜黄チャート相当とされる教科書レベルから入試レベルまで(公式の説明)
1周にかかる時間短い(例題+演習でも1冊260〜370題ほど)長い(例題だけで基礎問の2倍以上)
向く状況残り時間が短い、並行科目が多い高1・高2で時間がある、数学に時間を割ける
次に進む本(③)標準問題精講、1対1対応の演習1対1対応の演習、プラチカ

つまり違いは「上限の高さ」と「かかる時間」のトレードオフです。どちらが優れているという話ではありません。

どちらを選ぶか——判断の軸は2つ

1. 残り時間と並行する科目数

高3の秋以降に数学を立て直す、あるいは英語・物理・化学も同時に進める必要がある場合、青チャートを全範囲仕上げるのは現実的ではありません。この状況では基礎問を選び、きちんと仕上げて③へ進むほうが結果的に先へ行けます。

高1・高2で時間があり、数学に時間を割けるなら、上限の高い青チャートを選ぶ価値があります。

2. 志望校の到達点

最難関の国公立や医学部の中でも思考力型の出題をする大学を目指すなら、②の時点で上限の高い本を選んでおくほうが、③以降がスムーズです。

中堅〜上位私大、地方国公立の多くは、基礎問で身につく解法に③の演習を積めば届く範囲です。

2つの軸をまとめると、こうなります。

あなたの状況基礎問題精講青チャート
高1・高2で、数学に週5時間以上かけられる上限の高い本を選ぶ余裕がある○◎
高1・高2だが、数学が苦手で分厚い本は続かないまず1冊回し切る。上限は③で補う◎△
高3・既卒で、残り1年未満。他科目も重い青チャートを全範囲は終わらない◎×
最難関国公立・思考力型の医学部志望で、時間もある②の上限を上げておくと③が楽△◎
学校で青チャート/Focus Goldが配られている買い足さず手元の本を使う×◎
◎ 第一候補 / ○ 選んでよい / △ 条件つき / × 勧めない。自分の行がどれかで決まります。迷ったら「残り時間」を優先してください

基礎問を終えたら、どこへ進むか

基礎問を仕上げたなら、次は③です。同じ旺文社の問題精講シリーズでは、基礎の上の「標準」にあたるのが標準問題精講です。ただし標準問題精講は3冊とも著者が違い、基礎問とも別の著者です。III・Cについては、旺文社の編集担当者も「ハイレベルな1冊」と書いています。1対1対応の演習(東京出版)を選ぶ方法もあります。どちらを選ぶかは標準問題精講と1対1対応の演習はどっち?で整理しています。

すでに青チャートを持っている・学校で配られている場合

買い直す必要はありません。青チャートもFocus Goldも②の本として同格なので、手元にある本をそのまま使います。

学校で4STEPやサクシードのような傍用問題集が配られている場合は、また別の考え方になります(傍用問題集と市販の網羅系の関係は、別の記事で扱います)。

よくある質問

Q.基礎問題精講だけで医学部や難関大に届きますか?
A.基礎問だけでは届きません。基礎問のあとに③(標準問題精講・1対1など)と過去問を積むことで、地方国公立や中堅〜上位私大の範囲には入ります。上限が高い大学を目指す場合は、③の後に青チャートの難しい問題を部分的に足すか、はじめから青チャートを選びます。
Q.青チャートと基礎問を併用してもいいですか?(青チャートを持っているのに基礎問を買い足すのは?)
A.青チャートの例題が半分以上自力で解けないなら、基礎問で解法を一通り身につけてから青チャートに戻る、という使い方は成立します。ただし2冊を同時に進めることはしないでください。同じ役割の本を並行すると、どちらも中途半端になります。
Q.入門問題精講から始めたほうがいいですか?
A.教科書の例題レベルがまだ理解できていない分野があるなら、その分野だけ入門問題精講(①)から入ります。履修済みで教科書レベルが分かっているなら、基礎問から始めて問題ありません。①は全範囲をやる段ではなく、未習の分野だけに使う層です。
Q.基礎問は例題だけでいいですか?
A.例題のすぐ下にある演習問題までセットで解いてください。基礎問は例題数を絞っている分、演習問題で定着を確認する設計になっています。例題だけだと1冊が薄すぎます。

「同じ役割の本を重ねない」は、数学に限らず参考書選び全体に使える考え方です。英語や物理でも同じ構造の失敗がよく起きるので、順に記事にしていきます。

出典・参考

記事中の書名・版・構成は執筆時点の出版社公式情報にもとづきます。改訂により変わることがあります。問題文の転載は行っていません。

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