英語長文で時間が足りないときの対策——共通テストは80分で約5,600語。「単語の速さ」と「文の構造」を分けて直す
英語の長文で、いつも時間が足りない。共通テストのリーディングは80分で総語数約5,600語です。時間が足りない原因を「単語の意味がすぐ出てこない」と「文の構造が取れず読み直す」の2つに分けて、それぞれの直し方と使う本の順番をまとめました。
「英語の長文、最後まで読み切れずに時間切れになります」
共通テストの模試の後に、とてもよく聞く悩みです。問題を解く練習を重ねているのに、いつも最後の大問が残る。
この記事では、時間が足りない原因を2つに分け、それぞれの直し方を整理します。
共通テストのリーディングは、80分で約5,600語
大学入試センターによると、共通テストの英語(リーディング)は80分・100点です。センターの報告書では、令和8年度の本試験は大問8つ、本文と設問・選択肢を合わせた総語数は約5,600語でした。後半の大問ほど長く、第5問〜第8問は1問あたり約590〜700語です。
単純に割ると、1分あたり約70語です(こちらの計算です)。実際には問題を考える時間やマークする時間もあるので、英文を読むペースはそれよりかなり速くないと間に合いません。センターの報告書に寄せられた関係団体の評価でも、かなりの速読力が求められ、最後まで解き終えられなかった受験者がいたと予想される、と述べられています。
時間が足りない原因は、2つに分けられる
時間が足りないときの止まり方は、大きく2種類に分けられます。
| 止まり方 | 原因 | 主な直し方 |
|---|---|---|
| 1文ごとに、単語のところで止まる | 単語の意味がすぐ出てこない | 単語を毎日、思い出す練習で回す |
| 文の最後まで読んで、また前に戻る | 文の構造(主語・動詞・修飾のかかり方)が取れない | 英文解釈の本で構造を取る練習 |
自分がどちらで止まっているかは、時間を測らずに長文を1題読んでみると分かります。知らない単語が多くて止まるなら前者、単語は分かるのに意味が取れず読み直すなら後者です。両方ある人も多いです。
研究で分かっていること
第二言語の読解についての研究をまとめた分析(Jeon & Yamashita、2014年)では、読解力と最も強く関係していたのは文法知識と語彙知識でした。
日本の大学生を対象にした研究(Shiotsu、2010年)では、長文の読解は構文の知識が最もよく説明していた一方で、文を読む速さを最もよく説明していたのは、単語の意味をすばやく引き出せるかでした。
どちらも関係を調べた研究で、対象は大学生です。それでも、理解には構造、速さには単語という分け方は、上の2つの原因と重なります。
原因1の直し方:単語は毎日、思い出す練習で
単語の意味が「分かる」だけでなく「すぐ出てくる」状態にするには、毎日少しずつ、思い出す練習で回します。
- 意味を隠して、自分で言えるかを確かめる
- 出てこなかった単語に×をつけ、その日のうちにもう一度。前の範囲も、○の単語ごと日を空けて思い出す
- 量は「単語帳の語数 ÷ 週数」で決め、入試まで毎日続ける
回し方の詳しい手順は単語帳は何周で覚える?1日何個?にまとめています。
単語は、文法・解釈・長文のどの段にいても必要です。後からまとめて覚えるのは難しいので、最初から毎日並行します。
原因2の直し方:英文解釈の本で、構造を取る練習
単語は分かるのに読み直してしまう人は、長文の本を何冊も解く前に、1文の構造を取る練習をします。これが英文解釈の段です。
- 1
文法の基本演習
英文法ポラリス 0 か 1 など
解釈の本で文法が使えずに止まる人は、ここから
- 2
英文解釈
肘井学の読解のための英文法 必修編/入門英文解釈の技術70(どちらか1冊)
1文の主語・動詞・修飾のかかり方を取る練習
- 3
長文(標準)
The Rules 英語長文問題集 1・2 など
長文の読み方を学ぶ。構文の解析が全英文についている
- 4
過去問
志望校・共通テストの形式で時間を測る
出版社の説明では、『肘井学の読解のための英文法 必修編』はSVの見つけ方から始めて、約350の英文に文構造と修飾関係を示す「英文図解」がついています。『入門英文解釈の技術70』は、中学〜高1レベルの文法を使って英文の構造を見抜く練習を、70の例題と70の演習問題で行う本です。2冊は同じ役割なので、どちらか1冊を選びます。
長文の時期も、解釈の本の復習を続ける
長文の本に進んでも、読み直しが多い文に出会ったら、解釈の本の該当する項目に戻って構造を確かめます。The Rulesは、すべての英文に構文の解析(文構造の分析)がついているので、長文の本の中でも構造を確認できます。
英語は、文法・解釈・単語がすべて「長文を読む」ことにつながる教科です。当塾では、基本の演習を終えた人に限って、長文の本を本体にしながら、解釈の本の復習を補助として並行することにしています。
時間を測るのは、構造が取れてから
時間が足りないからといって、最初から時間を測って長文を大量に解いても、止まる原因が直らなければ同じところで止まります。
- 時間を測らずに読み、どこで止まるか(単語か、構造か)を確かめる
- 止まった文は、解説の構文の解析で構造を確かめ、閉じてもう一度読む
- 構造が取れるようになってから、過去問や模試の形式で時間を測る
よくある質問
- Q.共通テストの英語は、何分で読めればいいですか?
- A.80分で総語数約5,600語(令和8年度)なので、単純に割ると1分あたり約70語ですが、問題を考える時間もあるので、実際にはそれより速く読む必要があります。目標の速さを決めるより、どこで止まっているか(単語か、構造か)を直すほうが先です。
- Q.速読の練習をすれば速くなりますか?
- A.単語の意味がすぐ出てこない、構造が取れないといった原因が残ったまま速く読もうとすると、理解が落ちやすくなります。大学入試センターも、速く読むことばかりを優先するのは望ましくないという立場です。まず原因を直してください。
- Q.長文の問題集は何冊やればいいですか?
- A.冊数より、1冊の中で止まった文を解釈に戻って確かめることを優先してください。標準の長文の本を1冊仕上げてから、過去問に進むのが基本です。
- Q.単語帳を1冊終えたのに、長文で単語が出てきません。
- A.見れば分かる状態と、すぐに意味が出てくる状態は違います。意味を隠して思い出す練習で、覚えた単語も含めて前の範囲を日を空けて回し続けてください。
英文法の段差の埋め方は大岩のいちばんはじめの英文法の次の参考書は?、×の回し方は参考書は何周するべきかを読んでみてください。
出典・参考
- 大学入試センター 令和8年度 問題評価・分析委員会報告書(英語〔リーディング〕)
- 大学入試センター 令和9年度 大学入学共通テスト 試験情報
- Jeon & Yamashita (2014) L2 reading comprehension and its correlates: A meta-analysis. Language Learning, 64(1), 160–212
- Shiotsu (2010) Components of L2 Reading. Studies in Language Testing 32, Cambridge University Press
- KADOKAWA『肘井学の 読解のための英文法が面白いほどわかる本 必修編』商品ページ
- 桐原書店『入門英文解釈の技術70』商品ページ
- 旺文社『The Rules 英語長文問題集 1 入試基礎』商品ページ
- 河合出版『やっておきたい英語長文300 改訂版』商品ページ
記事中の書名・版・構成は執筆時点の出版社公式情報にもとづきます。改訂により変わることがあります。問題文の転載は行っていません。
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