子どもの勉強、保護者はどう声をかける?——調査と研究で分かっていることと、「時間」より「範囲」で話す工夫
高校生の子どもに「勉強しなさい」と言うべきか、黙って見守るべきか。高校生の保護者の関わり方の調査(2025年)と、親の関わりと成績の関係を調べた研究で分かっていること・いないことを整理し、声をかけるときの工夫をまとめました。保護者の方向けの記事です。
「高校生にもなって『勉強しなさい』と言うのもどうかと思うけれど、黙っていると何もしていないように見える」
保護者の方から、よく聞くご相談です。お子さんの側からも、「親に勉強しろと言われると、やる気がなくなる」という声をよく聞きます。
この記事では、高校生の保護者の関わり方についての調査と、親の関わりと成績の関係を調べた研究で、分かっていることと分かっていないことを整理します。そのうえで、当塾がおすすめしている声のかけ方をまとめます。
高校生の保護者は、どう関わっているか
ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所の調査(2025年)で、高校生の保護者に、子どもの勉強へのかかわりを聞いた結果です(「とてもあてはまる」「まああてはまる」の合計)。
| 保護者のかかわり | 2019年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 結果が悪くても努力したことを認める | 82.4% | 88.1% |
| 勉強で悩んだときに相談にのる | 66.0% | 73.9% |
| 勉強の意義や大切さを伝える | 65.6% | 73.9% |
| 「勉強しなさい」と言う | 48.0% | 44.8% |
| テストの成績が悪いとしかる | 29.9% | 25.1% |
「勉強しなさい」と言う保護者は、小学生・中学生の保護者では6割台でしたが、高校生の保護者では44.8%でした。
研究で分かっていること
期待や学ぶ意味を伝える関わりが、成績と最も強く結びついていた
中学生を対象にした50本の研究をまとめた分析(Hill & Tyson、2009年)では、親の関わりのうち、学ぶ意味や将来とのつながりを伝える関わりが、成績と最も強く結びついていました。一方、宿題の手伝いは、成績とむしろ逆の関係でした。
9本の分析をさらにまとめた研究(Wilder、2014年)でも、成績への期待が成績と最も強く、宿題の手伝いが最も弱く結びついていて、この傾向は学年をまたいで見られました。
自主性を尊重する関わりは、意欲や心の健康とも結びついていた
36本の研究をまとめた分析(Vasquez ほか、2016年)では、子どもの自主性を尊重する関わりが、成績、自分からやろうとする意欲、心の健康などと正の関係にありました。最も強かったのは心の健康との関係でした。
研究者からは、関わる量を増やすことより、どう関わるかが大事だという指摘もあります(Pomerantz ほか、2007年)。
研究で、まだ分かっていないこと
「『勉強しなさい』は逆効果」という言い方もよく見かけますが、今回調べた範囲では、それを確かめた研究は見つかりませんでした。
声をかけるときの工夫(当塾からの提案)
ここからは、研究で確かめられた方法ではなく、当塾がおすすめしている考え方です。
- 1
計画は、本人と決める
使う本と、1週間に何問進めるかを本人が決める
保護者の方が決めるのではなく、決めた計画を一緒に確かめる側に
- 2
「何時間やった?」ではなく「今週の範囲は終わった?」
時間ではなく、問題番号で決めた範囲が終わったかで話す
- 3
終わらなかったときは、理由より次の手
「残りは来週に足す?」「量を見直す?」
計画は崩れるのが前提。責めるより、割り直しを一緒に
- 4
結果が悪くても、進めた分を認める
模試の判定より、×の問題をどう扱ったかに目を向ける
「時間」より「範囲」で話す理由
「何時間勉強したの?」と聞かれると、机に向かっていた時間の話になります。でも、長く机に向かっていても、何が終わったかは分かりません。
計画を「1週間に何問」で立てておくと(勉強計画の立て方の記事)、「今週の範囲(No.25〜48)は終わった?」と聞くだけで進み具合が分かります。終わっていれば、それ以上言うことはありません。お子さんにとっても、「終わったかどうか」で話してもらえるほうが、何時間やったかを問われるより答えやすいはずです。
スマホは、取り上げるより置き場所を一緒に決める
スマホについても同じで、「使うな」と言うより、勉強中にどこに置くかを本人と決めておくのがおすすめです。通知が来るだけで集中が途切れたという実験はありますが、スマホを預けることで成績が上がるかを確かめた研究は、当塾では確認できていません(スマホで勉強に集中できないときの記事)。
夜型・睡眠は、生活の側から
夜遅くまで起きている、朝起きられない、という様子が続くときは、勉強の量より先に生活リズムを見直すほうが近道のことがあります(授業中に眠い・昼夜逆転の記事)。
当塾のレポートについて
当塾では、保護者の方に毎週、今週の課題とその達成率、参考書全体でいまどこまで来ているかなどをまとめたレポートをメールでお送りしています。「今週の範囲は終わった?」を、お子さんに聞かなくても確かめられるようにするためです。
よくある質問
- Q.高校生の子どもに「勉強しなさい」と言うのは逆効果ですか?
- A.逆効果だと確かめた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ただ研究では、期待や学ぶ意味を伝える関わりや、子どもの自主性を尊重する関わりが、成績や意欲と結びついていました。当塾では、時間ではなく「今週の範囲は終わった?」で話すことをおすすめしています。
- Q.子どもの勉強を見てあげたほうがいいですか?
- A.研究では、宿題の手伝いは成績との結びつきが最も弱い関わりでした(成績が悪いから手伝っている、という逆向きの可能性もあります)。内容を教えるより、計画を本人と決め、進み具合を一緒に確かめる側に回るのがおすすめです。
- Q.子どもがスマホばかり見ています。取り上げるべきですか?
- A.取り上げることで成績が上がるかを確かめた研究は、当塾では確認できていません。勉強中はどこに置くか、通知をどうするかを、本人と一緒に決めるのがおすすめです。
- Q.志望校や進路は、親が決めたほうがいいですか?
- A.研究では、子どもの自主性を尊重する関わりが、意欲や心の健康と結びついていました。判断の材料(今のペースでどこまで届くかなど)を一緒に確かめ、決めるのは本人に任せるのがおすすめです。
1週間の範囲の決め方は勉強計画の立て方、志望校の考え方は志望校が決まらないときの記事を読んでみてください。
出典・参考
- ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」ダイジェスト(図3-1-1)
- Hill & Tyson (2009) Parental involvement in middle school: A meta-analytic assessment of the strategies that promote achievement. Developmental Psychology, 45(3), 740–763
- Wilder (2014) Effects of parental involvement on academic achievement: a meta-synthesis. Educational Review, 66(3), 377–397
- Pomerantz, Moorman & Litwack (2007) The how, whom, and why of parents' involvement in children's academic lives: More is not always better. Review of Educational Research, 77(3), 373–410
- Vasquez, Patall, Fong, Corrigan & Pine (2016) Parent autonomy support, academic achievement, and psychosocial functioning: A meta-analysis of research. Educational Psychology Review, 28(3), 605–644
記事中の書名・版・構成は執筆時点の出版社公式情報にもとづきます。改訂により変わることがあります。問題文の転載は行っていません。
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