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無機化学の覚え方といつから始めるか——丸暗記の前に理論とつなげ、思い出す練習で回す

無機化学は覚えることが多すぎる、と感じていませんか。学習指導要領での位置づけと大学入試センターの方針を確かめたうえで、いつから始めるか、理論とつなげて覚える量を絞る考え方、使う本の役割、思い出す練習で回す方法をまとめました。

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「無機化学、覚えることが多すぎて頭に入りません」

化学の学習相談で、とてもよく聞く悩みです。気体の発生、沈殿の色、工業的製法。ノートにまとめても、少し時間がたつと抜けていく。

この記事では、無機化学をいつから始め、何をどう覚えるかを、公式の資料で確かめられることと、当塾の考え方を分けて整理します。

無機化学は、教科書のどこにあるか

文部科学省の学習指導要領では、「化学」は次の5つの大項目でできています。

  1. 物質の状態と平衡
  2. 物質の変化と平衡
  3. 無機物質の性質(典型元素・遷移元素)
  4. 有機化合物の性質
  5. 化学が果たす役割

無機物質は、典型元素については「性質が類似する同族元素の単体や化合物を中心に扱う」とされています。文部科学省の解説は、無機を学ぶ前提として、化学基礎で学ぶ電子配置と周期表を挙げています。

大学入試センターの共通テストの問題作成方針も、「化学」の問題作成で「基礎を付した科目の内容との関連も考慮する」としています。無機の問題でも、化学基礎で学ぶ酸と塩基・酸化と還元などが前提になる、と考えておくのが安全です。

いつから始めるか:本の順番どおり、理論の章を終えてから

学習指導要領が決めているのは「化学基礎のあとに化学」という科目の順番までで、化学の中で理論と無機をどの順で学ぶかは決めていません。ここからは当塾の進め方です。

  1. 1

    理論の章

    物質量・化学反応式・酸と塩基・酸化と還元・平衡など

    無機の反応を説明する道具になる部分

  2. 2

    無機の章

    同じ本の無機の章へ進む

    反応ごとに「どの理論で説明できるか」を確かめながら

  3. 3

    有機の章

    同じ本の有機の章へ進む

本体の問題集は1冊。その本の章の順番どおりに進めます

化学 基礎問題精講のように、理論・無機・有機が1冊にまとまった本なら、その章の順番どおりに進めます。

「理論を全部終えてから無機に入ると、無機と有機の時間が足りなくなるのでは」と心配になるかもしれません。当塾では、1冊の問題数を使える週数で均等に割って毎週の範囲を決めるので(勉強計画の立て方の記事)、無機と有機に使える週も最初から計画に入っています。理論の章で遅れたら、その時点で残りを残りの週数で割り直します。

理論の章を先に終えておくと、無機に入ったときに、反応を理論で説明できる状態で始められます。

覚え方1:丸暗記の前に、理論とつなげて覚える量を絞る

無機の反応の多くは、理論で学んだ考え方で説明できます。

  • 気体の発生 → 弱酸の塩に強酸を加える(酸と塩基)、酸化剤と還元剤の反応(酸化と還元)
  • 沈殿 → 溶けにくい塩ができる組み合わせ
  • 金属の反応 → イオン化傾向

高校の先生向けの専門誌『化学と教育』(2017年)でも、生徒は無機を「単に暗記する学習と思い込んでいる」と指摘し、無機は理論化学の化学結合・酸と塩基・酸化還元・化学平衡を各物質に応用したものだ、という視点が欠けると膨大な暗記に感じられる、と述べられています。旺文社の『福間の無機化学の講義』も、化学反応のポイントを理解することで暗記が最小限ですむように工夫した、と紹介されています。

当塾では、無機の反応を覚える前に「この反応は、理論のどの考え方で説明できるか」を確かめ、説明できるものは理解で済ませ、本当に覚えるしかないもの(色・用途・工業的製法の名前など)だけを覚える、という進め方をとります。

覚え方2:覚える部分は、思い出す練習で回す

それでも覚えるしかない部分は残ります。そこは、覚え方の研究で裏づけのある方法で回します。

学習法を比べたレビュー(Dunlosky ほか、2013年)では、練習テスト(自分で思い出す・解く)と分散学習(日を空けて繰り返す)が、最も有用性が高いと評価されています(化学に限った研究ではありません)。

  • 色や沈殿は、表を眺めるより、隠して自分で言えるかを確かめる
  • 言えなかったものに×をつけ、その日のうちにもう一度
  • ○になったものも、日を空けて回し続ける。問題集の2周目(×の問題だけ)と違い、覚える部分は○も外しません(当塾の提案。回し方は単語帳の記事と同じです)
  • 問題集の無機の問題も、1周目で×をつけ、2周目は×の問題だけ(参考書は何周するべきかの記事)

使う本と、その役割

無機化学でも、本は役割で分けて考えます(役割の考え方は基礎問題精講と青チャートの記事)。

役割本の例使い方
① 講義・理解宇宙一わかりやすい高校化学 無機化学、福間の無機化学の講義(どちらか1冊)通読せず、分からない反応を調べる辞書として横に置く
② 解法習得化学 基礎問題精講(111題。理論・無機・有機の3章)化学の本体の1冊。無機の章も含めて回す
③ 入試標準演習化学重要問題集 など②を仕上げてから。重要問題集は学校採用専用(書店では「実戦 化学重要問題集」)

化学も、本体の問題集は1冊です。無機のためだけに別の問題集を並行して増やすことはしません。

よくある質問

Q.無機化学はいつから始めればいいですか?
A.当塾では、本体の問題集1冊を理論 → 無機 → 有機の順に進めるので、理論の章を終えたところで、同じ本の無機の章に入ります。週ごとの量は問題数で均等に割るので、無機と有機に使える時間も最初から計画に入っています。
Q.語呂合わせで覚えるのはだめですか?
A.だめではありません。ただ、理論で説明できる反応まで語呂で覚えると、覚える量が増えてしまいます。説明できるものは理解で済ませ、どうしても覚えるしかないものに絞って使ってください。
Q.宇宙一と福間の無機化学の講義、両方要りますか?
A.どちらも講義の本なので、どちらか1冊で十分です。通読せず、分からない反応を調べる辞書として使います。
Q.無機化学の表をノートにまとめたほうがいいですか?
A.まとめること自体は悪くありませんが、まとめた表を眺めるより、隠して言えるかを確かめる時間を多くとるほうが効率的です。ノートは、×になったものだけを書き出す程度で十分です。

×の問題の回し方は参考書は何周するべきか、計画の立て方は勉強計画の立て方を読んでみてください。

出典・参考

記事中の書名・版・構成は執筆時点の出版社公式情報にもとづきます。改訂により変わることがあります。問題文の転載は行っていません。

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